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2010年10月

2010.10.01

デンタクオタク


それぞれの職業にはそれぞれ必要な道具というものがあり、それはその職業を表す「シンボル」となっている。たとえば医師であれば聴診器。殺人許可証を所有する007なら言わずもがなワルサーPPK。小説家ならさしずめモンブランの太軸の万年筆が「小説家のシンボル」になるだろう。その小説家がパーカーを使っていようと、Macで原稿を打ちまくろうと「小説家」を表すイコンは黒くて太いモンブランでなくてはいけない。そしてオトコのシンボル、といえば、もちろん先が太くなったアレだ。

金融プロフェッショナルのシンボルは何だろうか。日頃頻繁に使用する道具がSASであろうと、Excelであろうと、はたまたブルンバーグであろうと、それらのソフトウエアをシンボルと見なすのは気が引けてしまう。やはり年期が入り使い込んだブツでないと。となると、それは電卓だ。

外資系証券の現場で使われている電卓は、それぞれの出自によって様々だ。税理士・会計士などの「経理畑」出身者は12桁の大降りなCASIOかSHARPの電卓を左手でブラインドタッチで打ちまくる得意技を披露している。理系オタクは科学計算用の関数プログラム電卓。そして米国に留学して戻ってきたMBAはたいてい金融電卓を使っている。金融電卓とは一言で言えば金利計算が簡単にできる関数を組み込んだ電卓のことで、AMAZONでサーチするといろいろ出てきた。 CASIO、SHARP、HPの3社があるようです。

数多ある金融電卓であるが、日本メーカー製は残念ながらかなりの少数派だ。というか使われているのを見たことがない。ではHPは? そう、米国HP社はかつて独特の高級電卓を多数製造販売していたメーカーで、現在もHP12Cをはじめとする名器が品揃え豊富だ。その話は10年前当HPで書いた(→どんな電卓使ってますか)が、実はアメリカではもう一つのスタンダードがある。それはHPに対抗する電卓メーカーTI社(テキサスインスツルメンツ)のBAIIPlus(ビーエー・ツー・プラス;ビジネスアナリスト2プラス)という機種。アメリカのビジネススクールでは売店で安っぽくぶら下がっていて「使い捨て電卓」のような風情らしい。値段も33ドルだから2980円、というところだろう(日本ではPPPは成り立たず、その倍の値段で売ってる!)。

実物はHPの名器HP12C とはかなり異なった外見だ。HP12Cが横長の独特の形なのに対して、縦長。そしてキーのクリック感がなく、ペナペナのとても安っぽいキータッチ。まるでおもちゃだ。裏面には漢字で「中国製造品」と書いてある(嘘)。そして何よりも目を引くのが先が太くなっているそのデザイン。ちょっとえっちっぽいというか、猥褻というか、まるでオトコのシンボルそのもの。なんで先っぽが太いんだ?

HP12Cは、その中身をほとんど変えず、30年前から販売されている。良く言えば、それだけ完成されておりもはや改良の余地がないということであろう。実際数年前から改良版であるHP12Cプラチナムがラインに加わったが、演算速度が大幅に向上したことと、HP独特のRPN(逆ポーランド記法)の入力方式の他に、一般的な「数式通り」入力も選択できるようになったことが変更点。しかしHP電卓を選ぶ層はRPNの便利さに惹かれてのことで、わざわざHP12CをALGモード(数式通り入力)で使う人はいないはずだ。

名器HP12Cとお●んちん電卓TIBAIIPlus。そのシェアはどのくらいだろう?目の子であるが、2割がHP派(RPN派)、8割がTI派(数式通り入力)といったところか。名器HPは、先っぽの太いアレに押され気味なのが、RPN派としては残念なところである。

ちなみに、HP12CとTIBAIIPlusの大きな違いは

・入力方式(HPはRPN方式。TIは普通の電卓と同じ数式通り)
・大きさ(HP12Cは小降りでワイシャツの胸ポケットやジャケットのサイドポケットになんとか入る。TIはでかすぎてはみ出す)
・TIは中国製なのに対して、HP12Cはもともとアメリカ製、その後シンガポール製(私のはSingaporeと刻印あり)、そして現行品は中国製と3バージョンがあり、ヤフオクで古いバージョンを探す楽しみがあります。
こんなところでしょうか?

またHP12C(オリジナル)とHP12Cプラチナムの違いは

・演算速度がプラチナムは大幅に強化されている。
・液晶のコントラストがプラチナムは可変。しかしもともとコントラストは高く視認性はとても良いので不要な機能。
・液晶の数字のデザインがプラチナムは縦に細く、オリジナルは丸っこい。
・数字キーのフォントデザインが違う。オリジナルの方が大きく、太く見やすいような。
・プラチナムはALGモード(数式通り入力)あり。しかしこの機能は不要だと思います。
・X^2(レジスターを自乗する)キーがプラチナムにはある。これも不要。
・プラチナムには誤入力を一文字ずつ修正するバックキーがあるが、使いにくい。これもいらない。

要するに「演算速度が速くなっている」こと以上の改良点がないんですよ、HP12Cは。色調はオリジナルがゴールドに焦げ茶色のプラスチック。プラチナムはシルバーに黒のプラスチックです。

マネックスの松本大さんが自身のブログでも「プロの道具」としてHP12Cを絶賛しています。

当記事の最初に「オトコのシンボルは先の太くなったアレ」と書いたが、私の好みはやはり横長の名器HP12Cである。RPNもそうだが、コンパクトでジャケットのポケットに入れてどこでも持っていけるのが利点なのだ。そう、RPNに慣れてしまうと他の電卓では四則演算すら出来なくなってしまうので、電卓は常に必需品になるのである。ただでかくて太ければいい、ってもんではない。

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