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2010.09.17

おいしいセクター


セルサイドのアナリストはもちろんのこと、バイサイドアナリスト、ファンドマネージャーも産業別に担当セクターを持ちます。自動車産業をカバーする アナリスト、医薬品業界のアナリスト、ハイテク担当のファンドマネージャー、、、などのように。日本の証券会社は、かつては業界の担当はローテーション で、2年間電機セクターを担当したら、次は鉄鋼セクター、その次は消費と、経験セクターを増やし、やがて調査部長への階段を上がって行きました。

これに対し、外資系証券は、セクター替えは、原則なしです。化学セクター担当で採用されたアナリストは、他セクターを担当させられることは少ないで す。「少ない」と書いたのは、担当替えが皆無ではない、ということ。たとえば、日の当たらないセクターで入社したジュニアは、仕事が認められると、日の当 たるセクターの担当になることもあります。

バイサイドでは、アナリストは将来のファンドマネージャーへのトレーニングの場として位置付けているケースも多いため、担当替えが行われ、複数のセ クターを担当した後、ファンドマネージャーに登用されることもあります。しかし、巨額の年金を運用する運用会社では、複数のファンドマネージャーでひとつ のファンドをチーム運用するので、ファンドマネージャー自身も担当セクターごとに分かれているのが、最近の特徴です。この場合、セクターを統括し、アロ ケーションを決める、上のポジションを「ポートフォリオマネージャー」と呼んでいる会社もあります。

したがって外資系証券では10数年ひとつのセクターを担当しているアナリストがいっぱいいます。よく言えばスペシャリスト、悪く言えばそのセクター の動向以外はなにも知らない専門バカです。でも、ファンドマネージャーは産業の内情をよく知っているスペシャリストに頼りますから、そのような人の方が市 場での評価は高くなります。

そんなわけで、日系の証券会社も最近はセクター替えをやめているようです。え、「うちはまだやってるよ」って? ええと、そんな会社には早く辞表を提出しょう。会社を頻繁に替えても自分の市場価値は下がりませんけど、セクターを替えると市場価値は暴落です。

産業の数ほどセクターがあるわけですが、通常は東証の業種区分に応じたセクター分けがなされているようです。そして、アナリストは担当するセクター によって昇進や収入、将来のキャリアまでもが決まってしまいます。要するに、日の当たるセクターと、日の当たらないセクター、です。

日の当たるセクター:
(1) トレーディングのボリュームが大きく、ブローカーが収益を上げやすい
(2) 産業が成長産業で、資本調達の額が大きく、回数も頻繁。IBが収益を上げやすい
(3) 日本のその産業の国際競争力が大きく、外人投資家からの需要が大きい
(4) 技術的にわけわかんない会社が多く、アナリストの活躍の場が大きい

日の当たらないセクター:
(1) 衰退産業
(2) 産業の規模が小さく、証券のプライマリマーケット(発行市場)も小さい
(3) 国際競争力の小さい産業
(4) だれでも理解できる単純な事業モデルで、アナリスト不要

こんなところでしょうか。

ちなみに、日の当たるセクターとしては、電機が筆頭で、さらに、通信、ハイテク素材、医薬品、自動車、銀行、小売などがあります。逆に日の当たらな いセクターの代表は、大きなセクターとしては、鉄鋼が代表格で、ほかに建設不動産、商社、食品、造船、倉庫、繊維、紙パ(パルプ)、運輸などがあります (異論のある人もいるでしょうけど、これは作者の偏見が入ってますからご容赦を)

要するに、新卒新人で配属されると、誰もやりたくない日の当たらないセクターに回される可能性が高く、アナリストはそこで実績を作ってセクター移動 を要請することになります。もちろん人数が必要な、電機セクターの下働き要員、ってのもありですけど。それにバイサイドでは、日の当たらないセクターに選 任アナリストを置かないんで、そんなセクターを不幸にも担当すると、バイサイドへは移れません。

しかし、日の当たらないセクターでも利点はあります。競争相手が少ないため、ちょっとした努力でアナリストランキング高位に入れます。逆にいえば、「ランキングトップ以外は使い物にならない」とも言えるわけです。電機なんかアナリストの数が非常に多く、競争が激烈です。

インターネットは98~99年に、日の当たるセクターの仲間入りを果たしましたが、昨年には状況が「光通信」化しました。(リキッド化という人もいます。あ、リキッドとは、日米合弁のN証券が無理やり押し込んだマザーズ1号銘柄のこと。)

アナリストってどのくらいの人数がいるんでしょうか。アナ協(アナリスト協会)の「ディスクロージャー研究会」では、毎年業種別に経験3年以上のアナリストにアンケート形式で調査を行っています。参加アナリストの名前が公表されますので、ひとつの参考になります。

主要セクターのアナリスト数

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                               
セクターセルサイド人数バイサイド人数合計アナリスト人数

建設

       

13人

       

14人

       

27人

       

化学

       

21人

       

24人

       

45人

       

医薬品

       

21人

       

19人

       

40人

       

鉄鋼

       

7人

       

12人

       

19人

       

機械

       

19人

       

16人

       

35人

       

電気精密

       

48人

       

44人

       

92人

       

自動車

       

20人

       

14人

       

34人

       

商社

       

6人

       

9人

       

15人

       

小売

       

18人

       

15人

       

33人

       

銀行

       

11人

       

7人

       

18人

       

合計

       

184人

       

174人

       

358人

       

2000年度ディスクロージャー研究会資料より作成

セルサイドとバイサイドアナリストの人数は、ほぼ拮抗しているように見えます。ただ、経験年数3年以上であり、またアンケートに答えないバイサイド アナリストもいると推定され(バイサイドは業界に名前を売る必要がないので)、また、ファンドマネージャーは入っていませんから、実際にはバイサイドアナ リストの比率はもう少し高いのではないでしょうか?

これを見ると、アナリストの1/4は電機アナリストってことになりますね? さらに、この調査には通信やメディアなどの流行セクターが抜けています。

で、最後になりましたが本題の「おいしいセクター」。もちろん筆頭は「食品」です。決算説明会では、「おみやげ」が配られます。電機だったら電卓、 通信だったらテレカ、自動車だったらミニカー、ゲーム会社だったらゲームキャラクターのぬいぐるみ、製薬会社だったらリアップです。これが食品会社の場合 は、その会社の商品。アサヒビールではスーパードライが配られ、みんなビールを飲みながら質疑応答します。ほろ酔い加減で、鉛筆すべって「買い」推奨って 書いちゃいます。新発売のお弁当の試食会、なんてのもありますし、消費セクターでは新店舗の見学会で、そこのレストランで食事をご馳走になったりもしま す。

ちなみに私が説明会でもらったもので、一番頭きたもの・・・・金券5000円。思わず会社につき返そうかと思いました。アナリストを金で買収する な、って(結局使っちゃった、、、悲しいね)。一番うれしかったもの・・・・宮沢りえのテレカ。一番便利だったもの・・・・電気掃除機(100Vで動く小 型のもの)。一番困ったもの・・・・ワイングラス(ペアグラスばっか家に増えても困る)。一番おいしかったもの・・・・やっぱスーパードライでーす!

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(2001年2月3日記)

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