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2010.09.17

買い推奨の裏側

アナリスト協会は毎年、ディスクロージャーの優れた企業を選定し、「ディスクロージャー優良企業」として表彰しています。アナリストの間での評判は良いとはいえません。口の悪い連中はみんな「金ばっかとって、あんな程度のもんでお茶を濁している」って酷評しています。

ディスクロージャー優良企業を選定するには、会員企業(セルサイド、バイサイドとも)へ調査表が郵送され、そこで経験年数3年以上のアナリストが選 ばれます。そしてその後、各アナリストへ企業ごとに分かれたスコアシートが送られ、アナリストはそれを回答することになります。

また、セルサイド、バイサイドアナリストからなるディスクロージャー研究会委員が選定され、さらに、各セクター別に専門部会の委員も選定されます。スコアシートの一部はこの専門部会委員が回答し、その他の項目は選定されたアナリストが回答します。

このアンケート表の項目は非常に多岐に渡り、細かいので回答が超めんどいんです。たとえば、 「説明会資料で、保証債務の内容は十分に記載されてい ますか」とか、「投融資の実績および主な内容は記載されていますか」なんて設問されては、即答できません。以前の説明会資料を引っ張り出してきて一生懸命 調べたり、、、って時間はないんで、もう回答はいいかげんなもん。感覚的にYESとかNOとか付けちゃいます。だってこんなくだらない設問の解答に時間を かけるんなら、クライアントへ電話したり、企業の各部署に電話して情報交換してたほうが有意義じゃないですか。

というわけで、担当企業10数社分のアンケート回答を10分で終わらせて、スコアシートはアナリスト協会へ郵送されます。ほとんど鉛筆転がしてる世界です。

そしてその緻密な設問の調査結果をもとにアナリスト協会は、「ディスクロージャー優良企業」を発表します。しばらくすると、ある企業のIRから電話 がかかってきます。「お忙しいとは思いますが、ちょっとご相談したいことがありまして」「はぁ?」「弊社のディスクロ-ジャーは他社に比べて劣っているよ うでして、実は、改善しろ、という命令が社長から下ったんです」先のアナリスト協会の調査で下位にランクされた、日本を代表する企業の幹部が、アナリスト に頭を下げてやってきます。

「いまどきの投資家は、ここを見ている」「他社はこういう資料を作っている」「そんなやりかたしてるから、最下位にランクされるんだよ」「あんたわ かってないねぇ」「あほちゃうか?」IR部長さんは頭を下げ、となりの部員は一生懸命にノートを取っています。あー爽快、サディスティックな悦びです。

企業のIR担当者が帰ったあと、おもむろにレポートを書きます。○○株式会社、「買い推奨」 --- 理由はもちろん「悪材料は織り込み済み」「来 期は30%増益を予想」「PEは20倍で割安感強い」 ---まちがっても「IRが改善され、企業が株主の方を向くようになってきた」なんて書きません。

なぜか他社も同じようなレポートを出し、株価はグングン上がって行きます。あー爽快。グリコじゃないけど、2度おいしい、ってやつです。

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(2001年1月13日記)

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